榊一族

俺たちは食べ始めた。
料理はとても美味しい。これは本格的なプロの板前が作っているんだな。料亭の味だ。

「とても美味しいです。」
「それはよかった。田中さん、わしもとても美味しいと思うぞ。」
え？！家政婦さんが作ってるのか？
「ありがとうございます。」
「田中さんは板前の資格も持ってらっしゃるのよ。」

多才だなあ。

「サッチー、おかわりある？」
次男が言った。サッチーって…軽いな。
「ありますよ。」
「やったね！じゃあお願い！」
そんな次男をうっとりするように亜樹奈さんが見ている。

「真由、もういいのかな？」
「お腹いっぱいみたいだね。」
優樹奈さん夫婦はお互い赤ちゃんに食べさせていた。
「寝かせてあげたら？眠そうよ。」
えりさんが言う。
「うん。…お客様、おじいさま、おばあさま、失礼いたします。」
優樹奈さんは丁寧に挨拶して部屋を出て行った。

その様子をじっと椿君が見ていた。

「礼儀正しいでしょう？孫の優樹奈は。あの子は学業も優秀でいろんな教養を身につけているんですのよ。16でアメリカに留学したんですの。」
「すごいですね！」
そんな気がしたな。