榊一族
でもいろいろな興味深い話をしてくれての、わしはすっかり彼が気にいってしまったのじゃ。

そして一週間後にわしの肖像画が仕上がったんじゃ。そう、あれじゃ。わしの部屋の中央の時計の上にあるあの絵じゃ。

とても立派な絵だと思う。

わしとは立派な着物を着て、椅子に座っている。正にこの家の主の雰囲気が表れており、堂々としておるな。

そうじゃ、生きているかのようじゃった。

あの絵も。

『美鈴さん、おぬしのことが気にいった。よろしければここに住んではどうじゃ?部屋ならいくらでもある。それに仕事中はうるさくしないように家の者にも申しつけておこう。』

『よろしいのですか?ありがとうございます。』

こうして彼はわしの家に住むことになったのじゃ。
< 30 / 136 >

この作品をシェア

pagetop