榊一族
そして…彼の両親は病死しました。

最初はお父さん、次はお母さんが…

私は今でも鮮明に彼の姿を覚えています。

彼は二人のお葬式に私と行きました。

彼は今まで孤児院でも見せたことのない悲しそうな表情をしていました。

そしてそこでは衝撃的な事実が発覚したのです。

父親の葬儀の日、初めてあの子とお母さんは対面しました。

「秀！大きなって…こんなに立派になって…」

お母さんは彼を抱きしめましたが、彼はお父さんを気にかけました。

「お母さん…お父さんが…」

「ごめんね…ごめんね秀…お父さんあなたにとても会いたがっていたの…」

二人は暫く抱きあって泣いていました。

「僕、一回もお父さんと話せなかった…お父さん、ごめんなさい…」

そう、彼は一度も父親の声を聞くことも、姿を見ることもできませんでしたからね。彼はそれを繰り返し言いました。

「秀、謝るのは私達よ。今まで本当にごめんなさい。先生にも沢山ご迷惑をおかけして申し訳ありませんでした。」

お母さんは私にも言いました。

そしてお母さんは実はあることを隠していたことも謝ります、と言いました。

「俊、綾、入って。」

すると別室から男女が現れました。
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