榊一族
しかし1ヶ月ほど彼は生活した後に家に戻りました。

私は何故か尋ねました。すると彼はこう言います。

「僕がいるとみんなが苦しむんだ。」

彼は更に続けました。

「先生、お母さんには言わないでください。

正直、もう作られた家庭の中にはいるのってとても辛かったです。

家族の皆は優しくしれますけど…

なんだか友達の家に遊びに来たみたいで…

僕はよそ者みたいでした。

それに…聞いてしまったんです。

お母さんと弟と妹が僕が居ることで家庭環境が変わってしまって過ごしにくいって…

だから僕は帰って来ました。

もういいんです。

一緒にいて辛いなら…

僕はお母さんや弟達が幸せに暮らしてくれればそれでいいんです。一緒に住まなくても。

僕はもうこれで自分の気持ちにケリをつけました。」

そう言って彼は笑ったけど彼の目には涙が光っていました。

やっと幸せになれると思っていたのに…あんまりです。

私はもうこれ以上彼を傷つけたくなかったのでこれ以上言うのは止めました。

そして2年が経ち、彼のお母さんが病死したという連絡が入りました。
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