榊一族

榊家の主・総一郎

俺と主は庭を散歩していた。

「朝からすまんのう。あれが毎日の風景じゃ。」

主は言う。

「にぎやかでうらやましいです。僕は一人者ですから朝はいつも一人なんです。」

「そうか。中谷さんは嫁さんはまだじゃったな。」

「はい。」

「一人暮らしかな?」

「そうですね。実家は田舎なんですが、最近なかなか帰る暇がないんです。僕は父と母と下に妹がいます。妹は結婚して最近男の子が生まれたんですよ。」

俺は自分の過去はあまり語りたくない。だがこのくらいはいいだろう。

「ほう、そうか。中谷さんは甥っ子さんがいるというわけじゃな。なるほど。そうじゃ、よろしければ事件が解決するまでわしの家ですごされてはどうかの?」

「よろしいんですか?」

「かまわんよ。そうじゃ、今日の昼にでも荷物を取ってきたらどうじゃ?わしの会社のものに車を頼もう。」

主ははりきっていた。

正直ここにいた方が掃除や洗濯をしなくてもいいから楽だな。

「そうじゃ、昨日の話の続きをしよう。君も気になったであろう。」

主は切り出した。
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