榊一族
「すまぬがこれから人と会う約束があるんじゃ。終わり次第この部屋に向かうがそれまで遠慮なく調べてくだされ。」


「はい、わかりました。」

主は部屋を出て下に降りていった。

暫くこの部屋を見渡していたがなんか不思議な気がした。

異世界に来てしまったような気がする。

外の木が風に揺られてざわざわとし、桜が舞っている音が一層不思議な感覚を引き立たせていた。

さて、調べることにしよう。

俺はまず机の引き出しから調べてみることにした。

各引き出しを開けてみるとたくさんの絵と写真が出てくる。

風景の写真か。

桜、葉っぱ、海、雪景色、落ち葉…

季節の風景の写真がまずあった。

そして次にB5サイズの画用紙の絵が何枚かある。

へぇ、美鈴さんは風景画も得意なのか。

女の人が砂浜を歩いている絵…

公園で桜の木を見る女の人の絵…

紅葉を手にしている女の人の絵…

雪の妖精のような女の人の絵…

これは…この四人は同じ人物ではないか?

ひょっとして…

「なにしてらっしゃるんですか?!」

振り向くと長女が立っていた。なにか化け物を見たような顔をしている。
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