榊一族
桜子はまた突然怒ったな。

『…なんでそう言える?』

あいつな、今はあんなんだけど昔は母ちゃんみたいにはきはきしてたんだぜ。

『だって…どうしてそんなことするの?理由がわからないわ!』

『俺だってわかんねえさ。まあいいや、お前仲いいだろ?謝ったら許すって言っとけ。』

あいつ何にも答えないでどっか行った。

でもあいつ謝りに来なかったぞ。

俺って頑固でさ。俺がここまで寛大に対応してんのになんでだろって思ってた。だから俺も許してやんなかった。

それ以来あいつと口きいてねえ。あいつもこの事件以来夕食にも顔出さなかったし一日、いや一週間顔合わせねえ時もあったかな。

んで俺ひょっとしてすげぇ落ち込ませたかなあと思って心配になってきた。

んでちょっと中庭のすけてるとこから上を見たんだよ。あいつそこを結構歩いて絵の具の水取り換えてたから。そしたら桜子と仲良くしゃべってんだよ。

だから俺はちょっと安心した。

けど…俺が謝ればよかったんだ。俺の誤解なんだから。

馬鹿だよな。」

次男は情けなさそうだった。

「煙草吸っていい?」

「はい、どうぞ。」

次男は煙草を出した。
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