榊一族
長女はそう言って次に俺を見た。

泣きそうな表情で。

「そんなに物を散らかして、それで稼いで生きているんですの?」

まぁ、この職業をやっているとよく言われることだな。


「しょうがねえだろうが、それも仕事なんだよ。」

龍之介は顔を上げて少し怒った。

「人のあらさがしをするのが職業ですの?」

「なんだよおまえ、邪魔しに来たのか?」

「お茶を持ってきたんです。」

「だったらお茶だけおいて行けばいいだろうが。」

まずいぞ、この空気。

長女は乱暴に机にお茶を置いた。

「すみません、ありがとうございます。」

俺は気まずい空気を断ち切ろうとした。

「中谷様、調べ終わったらきちんと元に戻してくださいね。」

長女は強い口調で言った。

「はい。散らかしてしまって申し訳ありません。」

俺は謝ったが、龍之介は更にきつい口調で長女に言った。

「秀が豊に似てるからってあたることねえだろ。」

長女はビクッとした。

「秀が戻ってきたような気がするんだろ?」

龍之介が言うと、長女は震え、部屋を出て行こうとした。
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