GET BACK TOGETHER
「絵麻ちゃん、似合ってる」
「ありがとうございます。大知さんが連絡してくれたお陰です」
あの時はもう夜の二十時で美容院は閉っている時間だったが、大知さんが知り合いの美容師さんに電話して頼んでくれた。
私は髪を切った。
六年振りのショートヘア。
もうこれで髪のことも気にしなくても良い。
髪を見ても光輝を思い出すことも無い。
「可愛い」
大知さんは私を愛おしそうな瞳で見つめている。
でも胸は高鳴らない。
私って、ひどい女だ。
大知さんはタクシーで家まで送ってくれた。
「明日、無理しないで」
「はい……」
「俺が会いたいから、来てね」
「大丈夫です。こんなことで会社は休めませんし……」
「俺が会いたいのところはスルー?」
「ご、ごめんなさい」
「嘘、冗談。絵麻ちゃんの笑った顔が見たかっただけ」
そんなことを笑顔で言われたら何て返して良いかわからない。