GET BACK TOGETHER
「絵麻ちゃん。一人になりたくないなら傍に居るよ」

「え……」

困惑していたら更なる困惑する一言が。


一人にはなりたくない……。

でも大知さんを選んだら、そういうことになるかもしれない……。

だけど、流石にそんな女にはなれない……。


「ご、ごめんなさい……」

私は気まずくて斜め下を向いて謝った。

「謝らないでよ。心細いならと思って訊いてみただけだから」

大知さんはそう言って笑った。

するとタクシーが止まった。
窓の外を見ると見慣れた風景。
タクシーの運転手さんは「着きました」と告げる。

「さぁ降りて。じゃないと俺も降りちゃうよ?」

「お、降りますっ」

焦ってそう返すと、「そんな必死に降りないでよ」と大知さんは笑う。

「じゃあまた明日ね」

「ありがとうございました。また明日……」


大知さんを乗せたタクシーは走り去って行った。

大知さんが私に触れたのはイタリアンのお店まで。

それからは私に触りもしなかった。
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