GET BACK TOGETHER
「絵麻ちゃん、産む気なの……?」


赤ちゃんがいると聞いた時、込み上げてきた感情は困惑よりも歓び。


大好きな人との赤ちゃん。

光輝の赤ちゃん。

絶対、産みたいって……


私は小さく頷いた。
そんな私を見た大知さんは困惑した表情を浮かべた。

「絵麻ちゃん、よく考えて。彼は父親になる気は無いよ」

「でも赤ちゃんを殺すことなんて出来ない……。それに私は、この子を産みたい……」

「絵麻ちゃん、まず明日ちゃんと産婦人科に行ってって。さっき先生が言ってた。ここは緊急外来だから専門医はいないから」

そう言われて辺りをみると、ベッドを囲うようにカーテンが掛かっているだけだった。

「絵麻ちゃん、しっかり考えて。俺は親になったことも無いから偉そうなことは言えないけど、人の親になるってことは簡単なことじゃないと思う。だから病院に行って診てもらって冷静になって考えるべきだ。まだ時間はあるだろうから」

冷静に考える……。

「目が覚めたら声を掛けてって言われてるから、俺は先生に声を掛けて来るよ。待ってて」

そう言うと大知さんはカーテンを開けて出て行った。
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