GET BACK TOGETHER
私は光輝の返事も聞かずに電話を切った。

そしてその携帯を沙希ちゃんに返そうとしたら、


『ブブブブブ!』


再び携帯に震動が。
画面には『高遠光輝』の名前。


何が言いたいの?

もう光輝の言いたいことは無くなったでしょ?

私はもう光輝に話すことなんて無いのに。


「二人に電話番号変えさせるなんて出来ないから、とりあえず電源切ってもらえる?あと申し訳ないんだけど後で着信拒否にしといてくれるかな」

申し訳なく感じながら携帯を差し向けると、沙希ちゃんは無言で携帯を受け取った。

それからすぐに耳障りなバイブ音は聞こえなくなった。

光輝のせいで空気が気まずくなってしまった。

「あ、もう夜も遅いんじゃない?私のために皆ありがとう。ごめんね、晩ご飯も食べてないよね」

笑顔で取り繕うが、戸惑っている三人。

「皆、ありがとう」

そんな三人の気持ちが嬉しくて私はお礼を言った。


私は病室の前までだけれど、三人を見送った。

明日も来ると沙希ちゃんと朋ちゃんが言ってくれたけれど断った。

だって明後日には退院出来るから。

社会人の貴重な休みを病院にくるためになんて使って欲しくないし、今日はそれ以上に迷惑をかけてしまったから。
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