GET BACK TOGETHER
一ヵ月程、いつも目で追っていたら、目が合うようになった。

最初に目が合った時、彼女は大きな瞳を必要以上にキョロキョロさせて、少し挙動不審になった。

自分のことを見ていたのかって思ったのかもしれない。

二回目に合った時も、少しオドオドして。

三回目には自分を見ていたの?と見つめ返してきてくれたので、笑って返すと驚いた顔をして頬が赤くなった。

そこからは目が合う度、笑って返した。

俺のことを好きになってって念を送りながら。


彼女にもっと近付きたいけれど、彼女は男子の輪に入ってくることもないし、いつも一緒に居るのは前田沙希と柳原朋。

彼女とは席も遠いし、話したことが無いので、話す機会は無いし、彼女から話してくれることは無い。

ただ目が合うだけ。

あの細くて小さい指に触ってみたいなとか、あのふっくらした唇にキスしたいなとか、勝手に考えるだけ。


もうすぐ夏休みが近付いていた。


「彼女、ほっし~」

篤弘が下敷きで仰ぎながら溢す。

「俺も~」

佐々木が返す。

「俺も欲しいな~」と周りに居た俺以外の残りの三人も頷いている。

「光輝はいらないの?」

返事をしなかったからか、佐々木が訊いてきた。
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