GET BACK TOGETHER
「……俺は別に」

わざと答えなかった。
本当は好きな子がいるけれど。

「光輝はモテるし、すぐデキソー」

篤弘が言ったが、俺がモテたいのはただ一人だからどうでも良い。

「誰か付き合ってくれそうなヤツに告白してみようかな」

佐々木がブッ飛んだことを言い放った。

「でもさ、顔も重要だろ。簡単に付き合える可愛い女なんている?」

篤弘が返す。

「いるよ」

佐々木が答える。

「例えば誰がいるよ?」

篤弘が再び訊く。


「安東とか?」


え。


佐々木の口から出てきたその名前に俺は焦った。


そして焦った俺はその日の放課後、


「安東さん、待って!」

「え?」


帰ろうとした彼女を引き止めて、


「俺、君が好きです……」
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