GET BACK TOGETHER
駅に着くと十七時を過ぎていた。

絵麻の仕事は十八時が定時だろうか。

俺は本当に今の絵麻のことを何も知らない。

だから今の俺は、絵麻がこの駅を利用している可能性に掛けるしかない。

改札口は二つあったが、とりあえず今日は一つの改札口に賭けて待つことにした。

改札口に向かってくる人間の顔を一人一人確認していく。

中には俺と目が合うと変な目を向けてきた女もいたけれど、そんなことすら気にならない。

暫く経ってから腕時計を見ると、今は十八時を過ぎたところ。
そろそろ絵麻が来るかもしれない。

もしかしたら絵麻は俺を顔を見た瞬間逃げ出すかもしれない。

目を凝らして見逃さないように俺は必死に絵麻を探した。


すると十分後、見覚えのある顔を見つける。


あの男……!

俺は走って駆け寄る。

絵麻への手掛かり、逃すわけにはいかない。

俺は「すいません!」と声を掛けながら男の腕を掴んだ。

俺に振り返った男は俺を見ると目を見開いた。


「君……」

絵麻がダイチと呼んでいた男。
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