GET BACK TOGETHER
「それなら私に赤ちゃんを返して」


俺はその一言に凍りつく。


「ごめん……本当にごめん……。他に俺に出来ることなら何でもする……」

「『ごめん』て、何に対して?」

「再会してからの全てだよ……」

「謝るくらいなら私の前から消えて!」

絵麻が叫んだ。
俺はこんな絵麻を見たことが無くて、一瞬たじろぐ。

「ごめん、それは出来ないから」

「もう良い!私が消えるから!」

絵麻が突然横にある非常階段の扉のノブを掴むと勢いよく開けて飛び出した。
俺は閉まりかけた扉を掴んで追いかけると絵麻は非常階段の手摺りを掴んで飛び越えようとしていた。


嘘だろ!


「絵麻!」

俺は必死に絵麻の身体を後ろから掴んで、なんとか手摺から引き離した。

「離して!離して!」

だが絵麻は暴れて泣き叫び続ける。
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