GET BACK TOGETHER
「絵麻!」

俺は急いで追い掛けると、絵麻はマンションの階段の一メートルくらいの壁を乗り越えようとしていた。

ここは八階。
飛び降りたら命は無いだろう。

背筋が凍りながらも俺は絵麻が飛び越える前に何とか絵麻を捕まえた。

「離してっ!離してっ!」

マンションの外で騒がれるのはマズイ。
しかも絵麻は裸足にパジャマ姿。
俺はやむ無く絵麻の口を手で塞ぐ。

「絵麻、ごめん……お願い、騒がないで」

「んーっ!んーっ!」

もうこれはやりたくないが、絵麻の部屋に鍵を掛けるべきかもしれない。


その日は気をずっと張りっぱなし。
仕事は勿論やれなくて。
トイレは毎回扉をわざと開けて入った。
台所の包丁も怖くなって絵麻が簡単に見つけられないように一番高い棚に隠すように入れた。
それから俺はやりたくはないが、ネットで絵麻の部屋に取り付ける鍵を買った。
明日には届く。
< 438 / 481 >

この作品をシェア

pagetop