GET BACK TOGETHER
これまでの二十六日間はなんだったんだろう……なんて笑いが込み上げてきた。

そんなに絵麻は俺から解放されたいんだ……。

胸は苦しくなるばかり。


外に出ると隠しきれない素肌に触れる空気は、前より温度が上がったと感じる。
あの並木道の木々も葉っぱをつけ始めているのかな。
もうすぐ桜も蕾をつけ始めるのかな。

歩いて駅まで絵麻と向かい、初めて絵麻と電車に乗った。
通勤ラッシュの時間は避けたけれど、人は沢山いる。
でも絵麻は泣き叫び出す様子も無く、ずっと大人しい。
そんな絵麻を見ながら俺は考えていた。

俺は絵麻がずっと俺を好きでいてくれたから、俺が頑張れば信頼を取り戻せればきっとまた戻れると思っていた。
でも、それは俺の勝手な気持ちだったのかな……。
だって絵麻は俺から離れることしか考えていないから。


なんとか無事に会社に着いた。
そこまでの道のり、絵麻はいつも通り、一言も喋らなかった。
俺も一言も話していない。
いや、話せなかった。
何かを話したら絵麻が「解放してくれるなら会話する必要がないでしょ」なんて言葉が出てくるかもしれないと怯えていたから。
< 444 / 481 >

この作品をシェア

pagetop