ヤナギ集落
俺は夢中で岩肌の穴の中を駆け下りた。
光が見え外に出た。そこは神社らしき場所だった。神主のような人と地元住民たちがお祭りの準備であろうか、忙しく動き回っていた。
地元住民の1人が突然山から転がり出てきた俺に目を見張った。

「あんた!い、今!そこの山から!!」
「え、あの…友達が山の中にある空き地にまだいると思うのですがどうすれば…。」
「そこの山に入ったのか?!馬鹿が!」
「え、、。」
「あんたは森の精霊に好かれなかったみたいだな。よかった。残念だがあんたの連れは戻っては来れないだろう。」
「そんな!どうなってるんですか!」
「あそこはな…」

どうやらあの山には地元住民しか知らない言い伝えがあるらしい。あの山にある写真には映らない柳の空き地。あそこは柳の精霊が管理しており精霊に目をかけられた者以外は柳の枝に外へ放り出される。逆に目をかけられた者は二度と出られずそこで暮らしていくことになる。初めて入った時には見えないが柳が選別した後、それまで柳に気に入られそこで生活している人々の姿が見える。
何百年も前、山の周辺の村で働き手にならないと判断された者たちが山の中に捨てられた。彼らはそこで協力して暮らしていた。
柳は捨てた者たちの心無い行動に憤りを覚え中に入った人々を襲うようになったという。
柳が中に引いきれる人の判断基準は誰にも分からない。
< 5 / 7 >

この作品をシェア

pagetop