冷徹な恋愛小説家はウブな新妻を溺愛する。
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…キィッ。
部屋のドアが軋(きし)む音が耳に入って来た。
けれど、意識は朦朧としこの目も開いてくれない。
こちらに近付いてくる気配を感じてもピクリとも動けない。
すると、気配の主はわたしをヒョイと抱き上げた。
…室井、さん?いつまでも寝室にやって来ないわたしに痺れを切らしたの?
こんな朦朧としたまま抱かれるなんて、初めてを捧げるなんて、そんなのーー
「い…ゃ…」
ピクリッとわたしを抱き上げた主の身体が言葉に反応して、わたしはベッドに戻され掛け布団をふわりと優しくかけられる感覚。
そして、わたしの頬を大きな手がスルリと撫で、部屋から出て行った。