冷徹な恋愛小説家はウブな新妻を溺愛する。
すぐさまシャワー浴びてメデューサな寝癖を直したかったけど、ご飯は3人揃って食べると言う約束を昨日したばかりだし、これ以上ふたりを待たせるわけにもいかなかったので泣く泣くメデューサのまま朝食を食べた。
食べてる間、わたしの向かいに座っている室井さんはずっと笑いを堪えていてお箸を持つ手と口元がプルプル震えていた。
笑いたいなら笑えばいいのに自らが課したルールに縛られてとうとう笑いはしなかったけど、でもあれじゃあ笑われてるのと一緒だわ。
…でも、室井さんも笑う事あるんだなぁ。
ーーキュッ。
そんな事を思いながらシャワーを止め、浴室を後にした。
「…え?」
脱衣所で籠の中にしまっておいた服に手を伸ばした時、自分が持って来た服と違うものが用意されている事に気付く。
フリルの襟とパフスリーブの袖が可愛い白地に黒のギンガムチェックのワンピース。
こんな可愛らしい服、わたしに似合うのかな。
不安だけど、他に着る服もない。
ワンピースに袖を通しながら、また室井さんに笑われなきゃいいなと思った。