冷徹な恋愛小説家はウブな新妻を溺愛する。

胸上までの天然の栗毛を乾かすと自室に戻り、ワンピースに合うようにこれまた用意されていたサロン仕様のヘアアイロンでくるりと髪を巻き、昨夜見つけたコスメで濃くならないようにメイクを施した。

その自身の姿を鏡で確認するも、

…なんか、新妻ってよりも妹とか娘っぽくない?

この服のテイストは確かに好みだが、室井と並んだ時の事を考えるとどうしても釣り合うとは思えなかった。

まぁいっか。今日は出かける予定ないし。

ーー

「まり子さーん、この服…」

まり子さんにこの姿を見てもらう為にリビングまで来たら、ソファでコーヒーを飲んでいた室井さんと真っ先に目が合って、そして…瞬時に逸らされた…。

「…」

そこまで露骨に逸らされると流石に傷付くんですけど…。

室井さんの後ろ姿を恨めし気味に見ていると、

「あら、奥様!なんて可愛いんでしょうっ!」

キッチンから出て来たまり子さんの笑顔がわたしを見るなり弾けた。

「ありがとうございます。でも、この服、ちょっと可愛すぎて…」

「あら。こういうテイストの服はお嫌いですか?」

「い、いえ!…どちらかと言えば大好きなんですけど、」

「ですってよ、坊っちゃま!」

ーーーえ?








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