冷徹な恋愛小説家はウブな新妻を溺愛する。
「…え?お店って…?」
何のことだか解らないわたしは思わずキョトンとしてしまう。
「お姉さんだったらたんまり稼げると思うよぉ?…店で働く前に俺とイッパツどう?小遣い程度の金なら払うからさ」
「っっ、」
チンピラが何を言っているのか理解した頃にはもう両肩をガッツリ掴まれて無理やり方向転換させられ、これでもかってぐらい車高の低い黒い車に向かわされる。
その車には、わたしの肩を掴んでいるチンピラの仲間らしき奴らが2人居て、そいつらもニタニタ厭らしく笑っていた。
「や、ゃだっ…!」
恐怖のあまり全身のちからが抜けて震えが止まらない。けど、それでも必死で抵抗した。
「オラッ、大人しくしろよ!金が欲しいんだろっ」
ズルズルと押され続けてどんどんと車に近づき、後部座席のドアが開かれた。
「やっ…!だ、誰かっ、」
「誰も助けてなんかくれねぇよっ!とっとと乗れや!」
抵抗虚しく後部座席に押し込まれそうになった。
ーーーその時だった。