冷徹な恋愛小説家はウブな新妻を溺愛する。
「…千聖が、アイツに…他の男に触れられでもしたらと思ったら、嫉妬で気が狂うかと思った、」
「仁さん…」
「可笑しいだろう?こんな四十路(よそじ)の男があんな若造に嫉妬だなんて」
「そんなことっ…!」
ないー。そう言う前に仁さんはわたしをソファーの上にゆっくりと組み敷いた。
「愛は要らない。そう、言った筈なのに。いつからだろうな…キミの愛が欲しくなったのは」
切なげに揺れるその瞳にわたしがゆらゆらと映っている。
ゆらゆらと映るわたしは、また泣いていた。
「仁さん…、仁さん。わたしもです。わたしも、貴方の愛が欲しいです…っ」
「千聖…。身も心も全て私の妻になって欲しい」
「…はい」
初めてはやっぱり痛かったけれど、繰り返される行為のなかで、仁さんは凄く優しくて。
沢山のキスと、沢山の「愛してる」をわたしに与えてくれたのだった。
わたしは、祖父母が注いでくれていた「愛」とはまた違う「愛」を得て、幸せを感じ、暫く涙が止まらなかった。