闇夜ヨルの恐怖記録2
☆☆☆

その日1日クニヒコは機嫌が悪いままだった。


昨日の夜せっかく仕入れた歴史についても結局話す機会がなかった。


一方のタカシは休憩時間になるたびに別の科目をクラスメートたちに教えていて、みんなもそれに群がっていた。


クニヒコが一番イライラした気分になったのは、タカシが歴史について話し出したときだった。


「歴史の勉強なら、僕よりもクニヒコの方が得意だよ」


「そんなこと言わないで、タカシ君が教えてよ」


ハルカがそう言うのを聞いて、クニヒコは少なからずショックを受けた。


どうしてハルカはタカシに歴史を習おうとしているんだろう。


昨日の帰り道橋の名前の由来を教えてあげたことを忘れたんだろうか。


「そう? じゃあ今僕らが暮らしている街についての歴史なんだけど……」


タカシが披露した歴史は戦争中この街に落とされたミサイルについてだった。


それについてはクニヒコもすでに知っていた。


みんなは知らないかもしれないけれど、とてもポピュラーな話で聞いていてもちっとも面白くない。
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