闇夜ヨルの恐怖記録2
「さて、ここに止まったら誰かの才能を奪わないといけないんだけど、どうしようかな?」


わざとらしく3人を見つめる。


3人はマサシと視線が合いそうになると慌ててそらした。


そんなことをしても逃げることはできないのにと、プッと吹き出して笑ってしまった。


「そうだなぁ。俺、勉強も苦手だけどスポーツも苦手なんだ。少しくらい活躍してみたいって思ってるんだけどなぁ」


マサシの言葉にビクリと体を震わせたのはタカヒロだった。


青ざめた顔でマサシを見ている。


「やめてくれ。俺からサッカーを取ったらなにも残らないんだ!」


「そっか。いいね、サッカーがあって。俺には最初からなにもないんだよ?」


その言葉にタカヒロは絶句した。


なにも持っていないマサシには失うものがなく、恐怖なんて感じないのだ。


それはマサシにとって強みでもあった。


「俺はタカヒロからスポーツの才能を奪う」


マサシの声が教室中に響き渡ったのだった。
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