闇夜ヨルの恐怖記録2
一瞬ドキリとしたけれど、どうにか顔に出さないでいられた。


散々ゲームを調べられた後、ようやくゲームが再開された。


「才能を取り戻さないと、このまま勉強できなくなってしまうと困るの」


チナは必死に願いを込めるようにサイコロを振る。


「どうしてそんなに勉強がしたいんだよ」


マサシからすればあんなのつまらないことでしかない。


それよりもずっとゲームをしていたい。


「チナは将来お医者さんになるの。だから今から猛勉強をしているのよ」


それは初耳だった。


ノリコはクラスメートの情報をよく知っているようだ。


「私、絶対にお医者さんになるの。それで小学生の従兄弟の病気を治すの」


チナには将来の明確なビジョンが見えているようで、マサシにはそれが面白くなかった。


夢なんてくだらない。


夢を持ったって叶うかどうかわからないし、叶わないほうがずっと多いはずだ。


マサシは何度目かの自分の番のとき、サイコロにネリケシを付けた。


5の目が出るようにその逆側の2に貼り付ける。


そしてそれを、転がした。


コロンと軽く転がっただけのサイコロは5を上にして止まった。


4人の視線がボードの上を動き、そしてあたりのマス目で止まる。


「嘘でしょ」


呟いたのはノリコだった。


マサシはそれに気が付かないふりをしてコマを移動していく。


そして、あたりのマスの上で止めた。


「あたりだ」
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