闇夜ヨルの恐怖記録2
マサシの言葉に他の4人がビクリと体を跳ねさせる。


もうすでに才能を奪われている2人は不安そうな表情を他の2人へ向けた。


「そうだなぁ。今度はどんな才能がほしいかなぁ。ヒデアキの顔なんて本当にいいなって思ってるよ」


「そ、それだけはやめてくれ! 明日も仕事があるんだ!」


「へぇそうなんだ? じゃあノリコのリーダシップにしようか?」


今度はノリコが青ざめた。


懸命に左右に首を振るが、その姿はとても弱々しい。


このゲームであたりに止まることは最強を意味する。


「あ、そうだ。決められないからサイコロを振って決めようかな。もう1度5が出ればノリコのリーダシップ。それ以外ならヒデアキの外見」


遊ぶようにサイコロを手の中で転がしてマサシは言った。


その言葉にノリコの表情が緩むのがわかった。


6分の1の確率なら大丈夫だと踏んだようだ。


代わりに青ざめたのはヒデアキだった。


こちらは6分の5の確率で当たることになる。


「頼むよ、まだ仕事があるんだよ!」


すがるように言うヒデアキを無視してマサシはサイコロを振った。


まだネリケシを回収していないサイコロはコロコロと軽快に転がり、そして5を上にして止まった。


「え……嘘でしょう?」


ノリコが唖然としてサイコロを見つめている。


「出ちゃったものは仕方ないよなぁ?」


マサシはサイコロを手に取り、素早くネリケシを回収した。


そして「ノリコのリーダーシップを奪う」と、言ったのだった。
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