闇夜ヨルの恐怖記録2
☆☆☆

「おはようございまぁす」


現場に向かうと真っ先にキレイな女性が声をかけてきてくれた。


マサシは一瞬言葉に詰まったが「お、おはようございます」と、どうにか声を絞り出した。


ヒデアキが今回乗る雑誌は女性向けのファッション誌らしく、専属の女性モデルとの絡みの写真もあるみたいだ。


「ヒデアキ君はこっちね」


促されるままについて行き、椅子に座らされたかと思うと手早く化粧を施される。


鏡の中の自分の顔はみるみる内に変化していって、スッピンのときよりも更に際立
つ男前が出来上がっていた。


ヘアメイクも衣装も終わって、控室から出てきたときには撮影の準備もすでに整っていた。


白い布を背景にして赤いソファが置かれている。


その前にはカメラがセットされていた。


「ヒデアキ君はじめまして。トオコです」


後から声をかけてきたのはさっきの女性だった。


女性も撮影準備を終えていて、さっきよりも綺麗になっている。


髪の毛はふるゆわに巻かれて肩まで垂れていて、近づくと甘い香水の香りがした。


「は、はじめまして」


ぎくしゃくしながらお辞儀をすると、トオコと名乗ったモデルはクスッと笑った。


口角があがったその表情はとても愛らしくて心臓が高鳴る。


「はい、じゃあ2人共スタンバイして!」


スタッフの声に急かされるようにして、2人は撮影セットへ歩いて行ったのだった。
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