闇夜ヨルの恐怖記録2
☆☆☆

それからのマサシはまさに自堕落な生活を送っていた。


毎日学校へ行って、家に帰ってゴロゴロするだけの生活だ。


それでも相変わらずサッカーは上手だったし、女子たちからの人気は高かったし、リーダーシップもあったし、勉強もできた。


これだけ持っているのになにかを努力するなんて馬鹿げたことだと思っていた。


「マ……じゃなくて、ヒデアキ」


机に座って漫画を読んでいた時チナが声をかけてきた。


チナの手には数学の教科書が握りしめられている。


「なに?」


「あの……私に勉強を教えてくれない?」


チナは伏し目がちにそう言った。


小さな肩は小刻みに震えていて、今にも泣き出してしまいそうなのではないかと感じられた。


「どれ?」


マサシは顔をあげてぶっきらぼうに聞いた。


「これなんだけど……」


開かれた教科書を見るとすぐに答えがわかった。


マサシは鼻で笑ってチナを見つめる。


「こんな問題がわからないのに、医者になんてなれるわけねぇだろ」
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