闇夜ヨルの恐怖記録2
「俺になんの努力をしろっていうんだよ」


勉強もスポーツもできない。


ないないづくしの自分だ。


「見た目だよ」


言ったのはヒデアキだった。


驚いて思わず顔をあげてしまった。


ヒデアキの真剣な表情が見えてドキリとする。


本気で言ってるのか?


「お前に言われると嘘だとしか思えない」


「嘘なんかじゃない。背が高くてカッコイイ見た目のヤツだけがモデルをやっているわけじゃないんだ。お前みたいに少し背が低めで幼い顔立ちをしているヤツも沢山いる」


背が低いことも、幼い顔立ちなこともただのコンプレックスだった。


「モデルになれとまでは言わないけど、それを生かして前向きに行きていくことは簡単だ。今すぐにでもできる」


惑わされちゃいけない。


俺にはいいところなんてなにもない。


だから今までずっと一人ぼっちだったんだ。


「少なくても、いいと思ったからゲームで奪い取られたんだ。そうだろ?」


タカヒロの声に胸がトクンッと高鳴った。


いいと思ったから、奪われた……。
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