闇夜ヨルの恐怖記録2
☆☆☆

「今日は色々と教えてくれてありがとう。とても楽しかった」


放課後、首橋まで一緒に帰ってきたハルカが立ち止まってそう言った。


「俺もハルカちゃんと話ができて楽しかったよ」


「じゃあ、また明日ねクニヒコ君」


ハルカは楽しそうに笑って手を振り、背を向けてあるき出す。


クニヒコはしばらくその後ろ姿を見送って大きく息を吐き出した。


今日ほど沢山ハルカと話をしたことはなかったかもしれない。


ハルカが苦手そうな怖い話しを避けてあげたこともよかったのかもしれない。


ハルカの姿が見えなくなるまで送った後、クニヒコはやっと歩き出した。


思い出すのは今日1日のこと。


クラスメートたちが自分の周りに集まって、クニヒコが披露する歴史話に夢中になってくれた。


その間タカシが話題の中心に出てくることはなく、ずっと教室の後の方にいた。


思い出すと気分がよかった。


クラスで1番頭がよくてスポーツもできて、いつも女子の人気を総取りしているタカシだ。


少しくらいは日陰にいればいいんだ。


「タカシになんて負けてたまるか」


いつの間にかクニヒコの中でタカシはライバル的存在になっていたのだった。
< 34 / 150 >

この作品をシェア

pagetop