闇夜ヨルの恐怖記録2
「わかったよ」


クニヒコは頷いてメガネをタカシに渡した。


「ごく普通のメガネに見えるけれど……」


手に持った感触やレンズの分厚さなどを確認した後、タカシはメガネをかけた。


「少しめまいがするかもしれないぞ」


「あぁ、大丈夫だ」


メガネはタカシによく似合っていて、また少し嫉妬してしまう。


しかしタカシは首を傾げて「公園が見えるだけだ」と、言ったのだ。


「そんなわけないだろ」


クニヒコは横からメガネを取り、かけてみた。


少しめまいを感じた後、目の前の光景がクリアに見えるようになる。


そこには大きな瓦葺き屋根の家があり、近くには小川が流れていた。


「ここは民家だったみたいだ。小川も流れてる」


「本当にそれが見えているのか? 嘘じゃないよな?」


やっぱり疑ってかかるのかと思いつつ、スマホを取り出してこの周辺の歴史を調べてみることにした。


すぐには出てこなくて少し手こずったけれど、確かにこの周辺に川が流れていて集落があったことを示す古い地図が出てきた。
< 51 / 150 >

この作品をシェア

pagetop