闇夜ヨルの恐怖記録2
☆☆☆

あてもなくブラブラと歩いているだけで、周囲の歩行者たちが自分を見て笑っているように感じられる。


赤信号で止まった運転手は、その間に自分を見て笑っているし、横切っていく野良犬にまで笑われているような気がしてくる。


気がつけばマサシの歩調は早くなり、すべての生き物から逃げるように狭い路地へと足を進めていた。


思い出すのは才能に溢れるクラスイメートのことばかり。


みんなそれぞれに輝きを放っていて、それは唯一無二のように見えた。


それに比べて自分はどうだろう?


得意なことなんてなにもない。


得意だと思っていたゲームはついさっき惨敗してしまった。


好きな読書も周りの目が気になって集中することができなくなる。


自分にはなにもない。


そう思うと突然胸に風穴が相手しまったような虚しさを感じた。


自分なんていてもいなくてもきっと変わらない。


時々陰口を叩かれて笑われて、たったそれだけの存在なんだから。
< 80 / 150 >

この作品をシェア

pagetop