闇夜ヨルの恐怖記録2
「随分と古いゲームだな」


顔のいいヒデアキが珍しそうにボードを見つめる。


ただそうしているだけで長いまつげが揺れて絵になるのだから、不公平にもほどがある。


「中古で買ったんだ」


マサシは気のない返事をして、ボードの上に書かれているゴールの文字を指差した。


「ルールは簡単だ。このゴールに最初にたどり着いた人が勝ち」


マス目には色々を書かれているけれど、1マス戻るとか、進むとか、そういった単純なものばかりだ。


「このあたりのマス目に止まったらどうなるの?」


チナがボード上のあたりマスを指差して聞く。


さすがに、気になったみたいだ。


「そこに止まるともう1度サイコロを振ることができるんだ」


マサシは予め考えておいた嘘を伝えた。


プレイヤーのいいところを奪えるなんて言っても、どうせ信じてはくれないだろうけれど。


「そうなんだね。じゃあさっそく始めようか」


マサシが持ってきたボードゲームなのに、いつの間にかノリコに主導権を握られてジャンケンでゲームの順番が決まっていた。


そのことに少しムッとしたマサシだったが、すぐに気を取り直した。


このゲームであたりに止まればノリコのリーダーシップを奪い取ることができるのだ。
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