闇夜ヨルの恐怖記録2
そのためには今はゲームに集中することだった。


ボード上のあたりマスは全部で3箇所。


止まることができるかどうかは、サイコロの目に委ねられている。


もしかしたら1度もあたりに止まることなくゴールしてしまうかもしれない。


だけどマサシはそんなヘマをするつもりはなかった。


自分の番が近づいてきたとき、そっとポケットからネリケシを取り出した。


白色で爪の先程の小さなものだ。


自分のコマが止まっている場所からあたりのマスまで残り3マス。


マサシはサイコロを手に取り、手のひらで弄ぶふりをしながらネリケシを貼り付けた。


3の目を出すために逆側の4の面を重たくするのだ。


「次は俺の番だな」


マサシはわざとらしくそう言うとサイコロを振った。


サイコロは机の上でコロコロと転がり、3の面を上にして止まった。


「3だ!」


そう言ってすぐにサイコロを手にして3の目をみんなに見せるように掲げる。


そして机の上に戻るタイミングで、ひっつけていたネリケシを回収した。
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