闇夜ヨルの恐怖記録2
小学校の頃少しだけマジックにハマっていた時期があって、その練習のおかげて手先は器用になっていた。


4人はマサシの不審な動きに気がつくこともなく、コマを動かすのを見つめている。


「あたりに止まったから、サイコロをもう1度振るんだよね?」


ノリコがそう言い、マサシにサイコロを渡してくる。


しかしマサシはそれを受け取らなかった。


代わりにチナへ視線を向ける。


チナは首を傾げてマサシを見つけ返した。


今日の1時間目はマサシの大の苦手な英語の授業だ。


先生は出席番号順に当てることが多くて、今日はマサシが当てられる番になっていた。


「チナから頭脳を奪う」


マサシはチナを指差してそう断言をした。


一瞬4人は驚いたような顔を浮かべたら、すぐに吹き出して笑い始めた。


「ビックリした。マサシ君が何を言い出すのかと思った」


チナは笑いながら言う。


「本当だよね。ねぇ、今の一体なんなの?」


ノリコが質問してもマサシは答えなかった。


ジッと自分の両手を見つめている。


「そろそろ休憩時間も終わりだな。一旦やめようぜ」


ヒデアキのひとことで我に返ったマサシはボードゲームを片付け始めたのだった。
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