闇夜ヨルの恐怖記録2
授業を聞いていない不真面目な生徒には厳しいことで有名な先生だった。


当然マサシは困るだろうと思っていたが、予想に反して素直に立ち上がった。


そして先生が途中で止めていた文章をスラスラと読み上げ始めたのだ。


その発音の良さに教室中にざわめきが巻き起こった。


マサシは自分でも面白いと感じるくらいに自然と唇が動いていた。


教科書で読めない単語だってひとつもない。


こんなこと、初めての経験だ。


長い文章を最後まで読み終えたマサシは自信満々の表情を先生へ向けた。


マサシが英語が苦手なことを知っている先生はポカンと口を開けて立ち尽くす。


「先生。もう座っていいですか?」


マサシがそう聞くまで、先生は絶句したままだったのだった。
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