闇夜ヨルの恐怖記録2
☆☆☆

「マサシ、お前って頭よかったんだな」


英語の授業が終わった後、後ろの席の男子が感心したように声をかけてきた。


普段は挨拶程度しかかわさない相手だ。


「少し勉強をしただけだよ」


マサシはいい気分で答える。


あの後チナが先生に当てられていたけれど、その質問に答えることができなかったのだ。


『誰か、この問題を解ける人は?』


その質問にマサシが手をあげた。


チナが一番得意としていた英語を、マサシが奪い取ってしまったからだ。


だけど周りの生徒たちはそんなこと知らない。


マサシがすごく勉強をしたのだと思いこんでいた。


「さっき私になにをしたの?」


そう聞いてきたのは青ざめた顔のチナだった。


「なにって、なにが?」


「とぼけないでよ。さっきのゲームで『チナから頭脳を奪う』とかなんとか言ってたじゃん」


トゲのある声でそういってきたのはノリコだった。


ノリコは腰に手を当ててマサシを睨みつけている。


「そう言ったからってなんだって言うんだよ? まさか、それでなにかが起こったとでも持ってるのか?」


マサシは強気に出てそう言った。


どうせ本当のことを言っても信じないのだから、適当に誤魔化せば良いんだ。


「とにかく、もう1度あのボードゲームを見せてみてよ」


「そのつもりだよ。でも次は昼休みの時間だ。その時にゲームの続きをやるから見せてやるよ」


マサシはフンッと鼻で笑って答えたのだった。
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