闇夜ヨルの恐怖記録2
☆☆☆

なんの努力もせずに頭脳を手に入れたマサシは次の授業の数学でも大活躍をした。


まだ習っていない数式がおもしろいくらいに解けていく。


チナがどれほど頭がいい生徒なのか、改めて思い知らされた気分だった。


だけど今はもうこの頭脳はマサシのものだ。


学年1位2位を争う天才児はマサシだ。


「お前数学もできたんだな。よかったら教えてくれないか」


「私も勉強教えてほしい!」


「なんか今日はチナよりマサシ君のほうがずっといいよねぇ」


クラスメートたちは口々にそう言って、休憩時間のたびにマサシの机の周りに集まってきた。


クラスメートたちが悩んでいる問題はとても簡単で、マサシからすれば朝飯前の問題ばかりだ。


こんなものが解けないでよく生きていけるなぁと、内心感心したくらいだ。


「昼休憩にもっと詳しく教えてくれない?」

女子生徒にそう申出されて思わず頷きそうになったが、慌てて断った。


昼休憩にはボードゲームの続きが待っているんだった。


「ごめん、用事があるんだ」


マサシは申し訳無さそうな表情を浮かべて答える。


こんどは誰の才能を奪ってやろうか。


内心ではそう考えて、ニヤリとほくそ笑んでいたのだった。
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