闇夜ヨルの恐怖記録2
☆☆☆

このゲームのルールがバレても、サイコロの仕掛けに気が付かなければ勝ったも同然だ。


そもそもあの説明書を読んですべてを鵜呑みにしたとも思えない。


ピーピーうるさいノリコだって、本当は半信半疑でゲームをしているのがわかっていた。


「あと2マスであたりだ!」


そういったのはタカヒロだった。


「本当だ。あたりに止まることができたら、この中の誰かの才能を奪うことができるんだよね」


ノリコが説明書を思い出しながら言う。


「タカヒロは誰の才能を奪うつもり?」


チナからの質問にタカヒロは迷いなくヒデアキを指差していた。


指さされたヒデアキは目を見開いている。


「やっぱりヒデアキの見た目がほしいよな。足が長くてスタイルもいいしさ」


「やめてくれよ。俺はこれを仕事にも使ってるんだから」


ヒデアキはブンブンと左右に首を振って嫌がっている。


この外見がなくなってしまえば、もうモデルとしての活躍もできなくなってしまうのだろう。


「よし、じゃあ振ってみるぞ」


タカヒロはそう言うとサイコロを振った。


勢いづいたサイコロは机の上から転がり落ちて、床で止まった。


「チッ。3だった」


出た目は3。


そう簡単にあたりには止まれないようになっている。
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