きみは溶けて、ここにいて【完】
封筒の中に、携帯で撮った森の写真を印刷して同封した。
これを撮っているとき、ただ、私は影君に喜んでほしいと思っていた。影君に笑ってほしくて、それだけを。
でも、どうなのだろう。
影君が笑うたび、森田君の身体の中の負のエネルギーは膨張するのだろうか。
それを、森田君はひっそりと胸に抱えているのだろうか。
私、本当に、何を望めばいいのだろう。
分からないままに、森田君の下駄箱に封筒を置く。どうか健やかに。私も、そう思っているんだ。
今は、影君にだけじゃなくて、森田君にも。
そう思ってしまっているんだ。
そうやって、私は、ある意味では、気を抜いていたのだと思う。
こころを揺すぶるたくさんのことが起こりすぎて、いつもならフルに発動している警戒心もここのところ弱まっていたのかもしれない。
それに、何よりも、やっぱり、キャンプファイヤーの時間に抜け出したのは、リスクが高すぎることだったんだ。