きみは溶けて、ここにいて【完】
言えてよかった。
伝えないと消化できないもの。
恋とは、そういうものなのだろうか。
「あの、飛行機、どこ行くんだろうね」と独り言のように呟く久美ちゃんを、じっと見つめる。優しくて可愛いひと。
―――“そんな簡単に、文子さんのことを、誰も嫌いにはなれない。”
また、頭の中で再生される影君の言葉。
本当だろうか。信じてみたくなってしまう。心の距離を、もう少し、近づけてもいいだろうか。
相談して、みたいと、はじめて、今、思っていた。気持ちがそれくらい弱っていたからかもしれない。
きっと、私よりも恋を知っている女の子だ。
こくん、と唾をのみこんで、思い切って唇を開く。