きみは溶けて、ここにいて【完】
「0パーセントじゃないなら、賭けるべきだよ。何とかして会おうとしなきゃ、いつか、人って本当に会えなくなるから。ダメもとでもなんでも。後悔ってさ、なにかした後じゃないとできないんだよ。文子ちゃんは、告白したいの?」
「……それより、ただ、」
また、会いたい。
言ったら、本当のことになる。
上手く笑えないけれど、頑張って口角をあげたら、「本当の恋だねえ」と、お姉さんのような声で久美ちゃんが言った。
そうだ。恋なんだ。恋をしている。
慎重に頷いたら、「応援してる。それしかできないけど。文子ちゃんに似ている人なら、きっといい人だし」と久美ちゃんが笑った。
「会えるといいね」
「う、ん。……ダメもとでも、頑張って、みる」
なにかした後じゃないと、後悔できない。
それならば、私のはまだ、後悔じゃないのかもしれなかった。
「きっと大丈夫だよ。根拠はゼロだけど、なんか、大丈夫な気がする」
「どうして?」
「だって、空、超青いから」
「ふ、……うん。頑張って、みる。久美ちゃん、ありがとう」
久美ちゃんは、どういたしまして、と言って、冗談めかして、ツインテールを揺らした。
きゅるんとした髪が揺れて、太陽が光を少しだけ反射する。眩しくて、ほんの少し元気が出た。