きみは溶けて、ここにいて【完】





 だけど、最近、思ったの。

反省し続けることと、前を向くことは、同時にできるのかもしれないんだ。



「文子さん、後悔、しているの?」

「……すごく、している」

「……僕は、それが、全てだと思う。得るものも損なうものもなく、それがすべてだと思う」

「う、ん。私もね、最近、そう思うように、なれた」



 影君のおかげだ。

人を傷つけるような私でも、誰かの役に立ててしまうと知った。弱い自分を、認めてくれた。それで、少しずつ、後悔以外のものを、手放して、みようと思った。



 ただ、今日は、過去を吐き出して、楽になりたかったわけじゃない。私が伝えたいことは、まだ伝えられていない。


これから、言うんだ。


 目元を擦って、涙を拭う。


それで、影君と向き合うようにして立った。


後悔したくない。慎重に、間違えないように、伝えるから、聞いてほしい。


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