きみは溶けて、ここにいて【完】
こんなときでも、自分の幸せを森田君は証明していたいのだろうか。
私たち、影君がいなくなったことと、結局どう向き合えばいいのだろうね。
そう尋ねられないまま、数日が過ぎていった。
「……久美ちゃん」
「うん?」
「……結局、伝えられなかったんだ」
お昼休み。
夏休みの前は、太陽の熱のせいでとてもじゃないけれど肘なんてつけなかったベランダの淵に、もう躊躇うことなく肘をつけてしまう。
久美ちゃんと二人で、ベランダに肘をついて空を眺める。
夏は、そろそろ、終わろうとしていた。
相談に乗ってもらっていたから、報告するのが礼儀だと思った。
久美ちゃんは、私の報告に、なんとも苦い顔をして「そうやって、大人になってくね」と、ツインテールを揺らしながら、お姉さんみたいなことを言った。