きみは溶けて、ここにいて【完】
沈黙、する。
本当にそれが正しいかどうかなんて、知らないから、信じられるものを信じるしかなくて、今の私の場合はそれが影君の言葉で。久美ちゃんに合わせて、へらへらと笑ってやり過ごしていた。
影君からアドバイスをもらった次の日の朝、頭をぼんやりとさせたまま、生徒玄関をくぐり、下駄箱をあける。
上履きに指をさしかけたところで、その上にある紙の存在に気づき、思わず、「へ、」と間抜けな声を出してしまった。
慌てて、周囲を確認するけれど、誰もこっちを見ていない。
ホッとしながら、もう一度下駄箱に視線を移す。すると、確かにそこには、封筒が置かれているのだ。
―――どうして。
イレギュラーだ。
まだ、返事をしていないのに、次の手紙が入っているなんて、今までに、一度もなかった。
何かあったのだろうか。
いつもなら鞄に丁寧にしまうけれど、今日は制服のポケットに、少し雑に突っ込んでしまった。