きみは溶けて、ここにいて【完】
「……そういえば、友達は、大丈夫?」
「友達?」
「手紙に書いてあったから。文子さんの友達と、好きな人のこと」
「あっ。……ごめん、私が相談したのに」
「別に、気にしなくていいよ」
「正直なところ、分からないんだ。でも、黙ってることにした。……相談に乗ってくれてありがとう、ごめんね」
久美ちゃんは、もう少し心の準備を整えたら本当に告白をすると言っていた。
本当に黙ったままでいてよかったのか、結局、ずっと、そのことが引っかかっていたけれど、ツインテールを揺らして、可愛く笑う久美ちゃんを前にしたら、『うまくいくといいね』としか言えなかった。
それに、やっぱりどこか久美ちゃんには遠慮してしまうし、意見をする資格なんて、自分にはないんじゃないかと思ってしまう。
「いや、僕の方こそ、ごめん。いいアドバイスができなくて」
「影君は、何も謝ることなんてないよ。ごめんね」
「ううん、僕も。……って、僕ら、さっきから、ごめんばっかりだ。こんな会話の流れにしてしまって、ごめん」
あ、と影君が、やってしまったという表情を作る。今の今まで、二人していっぱい謝っていたのに、それが少し面白くて、私は無意識に頬をゆるめてしまった。
似ている。
似ているって、力が抜けてしまう魔法の一つなのだろうか。