相思相愛マリアージュ(前)~君さえいればそれでいい、二人に家族計画は不要です~
俺は地獄の三十時間勤務を終え、帰宅。
その足で、寝室に向かい、クローゼットを開けて中を探った。

「あった・・・あった」

俺は段ボール箱から遊佐選手のサイン入りのサッカーボールを取り出した。

「何してるんですか?奏弥さん」

「ん、あ」
俺はクローゼットから出て来ると小首を傾げる遥の姿が見えた。

「あ…昨日…来た患者さんの夫さん、俺の憧れのサッカー選手のお兄さんなんだ…」

「へぇー…」

「俺がサッカーしてたことは知ってるよな…」
「はい…」

俺はサッカーボールを懐かしく見つめ、当時の自分を思い返す。


「で、そのサッカー選手は今どこのチームですか?もしかして…もう引退してますか?」

「事故で亡くなった…もう…二十年近く前の話だけど…事故で生き残った娘さんが『高屋』の高屋副社長の奥さんらしい」


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