相思相愛マリアージュ(前)~君さえいればそれでいい、二人に家族計画は不要です~


十月十日。
赤ちゃんの命を預かるママたちには頭が下がる。
診察を終えた俺は事務作業をしていた。
産科医って、エロい感じに見られがちだけど、ママと赤ちゃんの二人分の命を預かる大変な仕事。
高木先生のように俺も救命医になりたかったけど、父や兄貴と同じ産科医も悪くないと思い始めていた。

「はい、槇村です」
デスクの脇に置いていた院内用のPHSが鳴る。
相手は高木先生。
――――高木だ…一人…妊娠反応の出た女性が救命に居る。診てくれないか?転倒して、お腹が痛いと言っている、流産の兆候がある。

「分かりました…」

――――高屋副社長の夫人だから…粗相のないようにな・・・彼女,捻挫してるから…車椅子でそっちに向かう…出来れば、迎えに行ってやってくれ


「えっ?あ・・・はい」

遊佐友希選手の娘が今から来るのか??
何だかソワソワして来た。


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